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Molocoを『アドテク企業』と表現するのは、間違いではないが正確でもない - 入社7ヶ月時点での考察

2021 年 9 月に Moloco に入社して早くも 7 ヶ月がたちました。

幸い、今期も日本チームは歴代最高売上を更新。成長目標が高いので大変ですが、充実した毎日を送っています。

『アドテク企業 Moloco』の解説は前回記事を読んでね

入社 2 ヶ月時点での下記の blog では主に『アドテクとしての Moloco』の特徴と、会社のカルチャーを解説しました。

Moloco DSP についてや、会社の概要について知りたい方は上記記事を読んでみてください。

機械学習の会社? 機械学習の民主化?

さて、多分ほとんどの方は、Moloco を『モバイル広告・アプリ広告の会社』『アドテク・DSP の会社』だと認識しているのではないかと思います。

ですが、上の記事でも軽く触れていますが、本当のところ Moloco は『機械学習の会社』であり、やっているのは『機械学習の民主化』なのです。

前回その意味をほとんど説明していなかったので、この記事ではそちらを解説します。

どの領域のアドテクも、最後は GAFA に集約していく問題

約 10 年前に僕が始めてモバイル広告に触れた頃から、プレイヤーは大きく様変わりしました。

昔は良く言えば多種多様、悪く言えば有象無象がわんさかいましたが、昨今では Alphabet (Google), Apple, Meta (Facebook), Amazon といったいわゆる『Big Tech』企業への依存度が高まっています。

彼らはその資本力を活かして、大量のユーザーを抱えるプラットフォームと、その上で最高のパフォーマンスを発揮する広告プロダクトを磨き続けています。
それ自体は彼らの正当な企業努力です。

広告プロダクトというのは大雑把にいうと、表側のフォーマットと、裏側のアルゴリズムの組み合わせで出来ています。

表側のフォーマットというのは、静止画、動画、縦型動画、プレイアブル、みたいな形式のこと。
裏側のアルゴリズムは、どのタイミングで・誰に・どの広告を見せるか、といったロジックのことです。この精度を高めているのが、機械学習という技術。

前者の『フォーマット』は、誰かが作ったらすぐ真似されて、業界標準になっていきます。
みんな短尺・縦型動画のプラットフォームを作って、広告面にする、みたいにね。

なので、広告プロダクトの力量は機械学習技術の開発力・改善力に比例しています (肌感、8割がた)。

加えて、昨今のプライバシー問題により、サードパーティ・データの利用が厳しくなっています。

つまり、自分たちがユーザーと直接接してファーストパーティ・データを収集・利用できる Big Tech 企業が、その点からもますます有利になっているのです。

ここで1つ問題があります。

Big Tech 依存の何が問題なの?

『Big Tech 企業の機械学習』と『ファーストパーティ・データ』の恩恵を最も受けられるのは、Big Tech 企業が持つプラットフォームに広告を出稿するときだけ (ほぼ) です。

一方、ユーザーは Big Tech プラットフォームの外でもけっこうな時間を消費しており、広告と接触しています。

つまり、けっこうな割合の広告が、Big Tech 水準の機械学習で最適化された状態でユーザーに届けられていない、ということなのです。

Moloco が解決しようとしているのはここです。

機械学習の『民主化』とは

つまり、Big Tech 企業なみにバリバリに磨き上げた機械学習と、自分たち (Moloco ではなく、Moloco のクライアントとなる企業のこと) が収集したファーストパーティ・データを、Big Tech プラットフォーム『以外』でも利用可能にするということです。

我々はこれを『民主化』(democratize) と表現しています。
若干 political に聞こえたらゴメンなさい。

ここで強調したいのは、機械学習テクノロジとファーストパーティ・データ利用を、Big Tech に寡占させるのは色んな意味で良くないよね、というメッセージです。

Google, Apple, Facebook なみの広告パフォーマンスを、それ以外の配信先でも

モバイル広告というのは、この大きな活動の一側面にしかすぎません。

上記をモバイル広告に適用すると、Google, Facebook/Instagram, App Storeといったプラットフォーム以外のネットワーク在庫を買い付ける際に、自分たちが適切に (MMPで) 収集したデータを (プライバシーを遵守しながら) Moloco に預け、業界最高水準 (自称) の機械学習技術で最適化をかけながら配信することができるようになります。

結果的に、Big Tech 広告への依存度は若干抑えられ、かつ、Big Tech 広告なみのパフォーマンスを維持することが出来ます。

Amazon 広告みたいなソリューションを、自分のアプリにも搭載

他の例としては、比較的新しいプロダクトである “Retail Media Platform” というものがあります。

これは簡単に言うと、Amazon 広告 (実は YouTube よりも売上が大きい) のような、『商品レコメンデーション + 広告』的なものを自社サービスに導入したいリテール・EC 企業向けに、その裏側のアルゴリズム (機械学習 + ファーストパーティ・データで、誰にどの商品 or 広告を見せるかを最適化する) を提供するというものです。

Amazon が商品販売以外に広告であれだけ収益を上げているなら、自分の EC サービスでも同じような仕組みを作って売上を上げたいですよね。
でも、Amazon 並みの精度のマッチング・アルゴリズムを作るのに、どれだけ機械学習エンジニアを雇って実験してって投資をしないといけないのでしょうか。

そこの技術部分を Moloco が提供しますよ、というソリューションです。
日本ではまだ担当がいなくて本格展開出来ていないです。クライアントも、人材も欲しい。笑

他にも、機械学習とデータ活用というのを軸に、いくつかの新プロダクトを仕込み中です。

僕の仕事は、そんな未来の機械学習企業を作っていくこと

僕はそんな会社の日本の責任者をしていて、短期的には広告の売上・利益を伸ばすというのがミッションです。

だけど、今後数年で Moloco は日本も含めて『アドテクの会社』ではなく『最高峰の機械学習技術を色んな会社に色んな形で提供している会社』になっていきます。

そのために必要な準備に、頭と時間の何割かを割いている入社 8 ヶ月目です。

最後に - 絶賛採用中です

そんな Moloco の日本チームでは、営業、アカウントマネージャ、マーケ・広報、データサイエンティスト、事業開発など多くのポジションで積極採用中です!

まずは雑談からでも welcome なので、ぜひ TwitterLinkedIn などで気軽にメッセージください。
Twitter: https://twitter.com/tatsuosakamoto
LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/tatsuosakamoto/

そんなかんじですかね!

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Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)
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