IDFAだけじゃない!アプリデベロッパーなら必ず把握しておくべきiOS14による6つの変更点
これまで何度か (引越し前の) blog で紹介してきた、変態的にアプリの検索広告や ASO に詳しいリバティーンズ社。
▼今回お話を聞いた皆様 - 左から堂道さん、中島さん、関さん
▼最新の過去記事
※ASO = App Store Optimization (アプリストア最適化)
久しぶりに iOS14 のこととか雑談していたら、広告業界の人が IDFA のことしか話題にしてないのに、なにげにアプリデベロッパー目線で知っておいたほうがいい UI・UX の変更にもこの人たち妙に詳しい、、、笑
※IDFA は取得できなくなる時期が 2021 年の 1 月頃に先延ばしになったので、需要あれば次回以降で書きます
というわけで、変更内容・予想されるユーザーの行動・デベロッパーへの影響・対応策など聞いたことをまとめてみました!!
▼記事では出せない生々しい数字も色々見せてもらいましたw
あくまで僕は聞き役なので、それぞれ詳しい話やご相談などはリバティーンズさんまで直接お願いしますw 紹介必要でしたら繋ぎます。
一.App Library の追加
まずデベロッパーに影響を与えそうな機能からいくつか紹介していきます。
【App Library とは】
ホーム画面の末尾に追加される、多数のアプリに素早くアクセスするための新機能。ユーザーが『ホーム画面に表示させるアプリ』と『App Libraryに格納するアプリ』で仕分けを行う事が可能。
大量のアプリも自動で分類される。分野別のフォルダが並ぶ中で特に『よく使うアプリ』は自動的に上位に並び、フォルダを開かず直接起動できる。
【予想されるユーザー行動】
『よく使うアプリ』と『趣味に合うアイコンのアプリ』のみホーム画面に表示させるようになる。『App Library に格納=使用しないアプリ』になる可能性あり。アイコンの見栄えが良いものだけを使って、自分で見ても他人から見られても良いホーム画面を作ろうとする (今でも若い女性とかはやってるっぽい)。今以上に『使っていないアプリ』のアイコンをホーム画面で見る機会が減る。
【デベロッパーへの影響】
①MAU・DAU が減るかもしれない
アプリが格納されることを考えると、アプリ内通知を行っているデベロッパーとそうでないデベロッパーで DAU に開きが出る。
※MAU = Monthly Active User
※DAU = Daily Active User
前者は月ごと、後者は日ごとの、ユニークなアクティブユーザーの数をあらわす指標
②アイコンがダサかったり可愛くなかったりすると、App Library に格納されてしまう
『あまり使わないけどいつか使おう』ぐらいのアプリも同様。一時的に今回の OS のアップデート後、真新しいホーム画面を整理するユーザーによって起動数・DAU が増えるアプリはありそうだが、日常的に開く必要があるアプリでない限りは格納されてしまい、最終的に DAU は落ちる。
【求められる対応】
『ホーム画面に残したくなる』目立つ・可愛いアイコンを作成して、MAU・DAU を担保する必要が出てくる。
二.App Clipの追加
【App Clip とは】
外出している時に「このアプリおすすめだよ」と Apple (iPhone 端末) からプッシュで提案がくる機能。
例) セブンイレブンの近くに行くと、セブンイレブンのアプリがホーム画面上に表示されて、アプリの使用を促される
ただ注意したいのは、単純にアプリを表示するというよりも、アプリをインストールしなくても必要な部分だけ・必要な時に表示し、体験させる仕組みらしい。機能は受動的に使えるわけではなく、ユーザーが能動的に (QR コードを読み取るなどの) アクションを行い、(アプリで支払いなど) 必要な『一瞬』を切り取って体験させる機能。
【予想されるユーザー行動】恐らく 2 パターン
①ウザがられるw
App Clip を表示 "させない" 設定ができるのかはまだ発表されてないっぽいが、設定ができる場合はほとんどのユーザーが表示をさせない設定にする可能性が。使う人は使うかもしれないが、元々日常的にユーザーが使うアプリに関しては効果が薄い。
②めちゃ好評かも?
アプリを体験し、ユーザーが『良いアプリ』と認識をした際のみにダウンロードされるようになる。DL せずに体験のみ続けるユーザーも一定数は存在するかもしれない。
【デベロッパーへの影響】
App Clip で完結してしまうようなツール系アプリはインストールされないことが増えるのではないか。検索順位にどのように影響があるかなどは不明。また、アプリがインストールされない状態で使われるため、データからユーザー行動や心理状態を把握することも困難になる。『ただ便利な機能を提供するだけ』にとどまってしまうと、アプリ内広告で収益を得ている場合は収益モデルが破綻する。
【求められる対応】
1. App Clip には『タイトル』『サブタイトル』が表示されるので、タイトルやサブタイトルを決める際により一層の熟慮が必要
2. AppClipに表示される『スクショ』のデザインの工夫。一時的な試用で終わらせないため、
①インストールにつなげられるイメージ画像・タイトル・サブタイトルの作成
②メタデータで、インストールしたからこそ可能になる機能を訴求
を行い、インストールを促進する必要がある。
三.AppStore内の検索画面の変更
【どう変更されるのか】
App Store 内で検索をする際に自動補完機能が付く。具体的には、表記揺れキーワードを検索した際に、Google 検索のように『あなたが調べたいのはこのキーワード?:~』のような文言が出てくる、
※表記揺れとは、同じ語句を漢字・ひらがな・ローマ字など本来とは異なる方法で記述すること。例えば『タウンワーク』の表記揺れは『たうんわーく』『townwork』など。
【予想されるユーザー行動】
今までとは基本的に変化はない。検索間違いが起きづらくなってちょっと便利。
【デベロッパーへの影響】
ユーザー行動としては変化はないが、検索順位が大きく変わる可能性がある。
自動補完機能が付くということは、ASO で表記揺れを考慮しなくても良くなるということ。『表記揺れキーワードの検索ボリューム』が減るため、『表記ゆれでの検索上位』が意味をなさなくなり、ビッグキーワードによりトラフィックが偏る。そのビッグキーワードが平仮名・カタカナ・ローマ字どれになるかは予想つかないが。。
よってキーワードごとの数字をモニタし、ASO を調整する必要がある。
【求められる対応】
表記揺れを網羅する必要がなくなり、効果を出せるキーワードが拡張するので、メタデータにいれるキーワードの優先順位をしっかり付けて、漏れなく入れるようにする必要がある。
ビッグキーワードで上位を獲得することがより一層重要になる。ビッグキーワードで上位ランクインさせるための勝ちパターンの模索、ビッグキーワードで CVR が高くなるクリエイティブ (アプリ名、スクショ等) が必須になる。
四.ファミリー共有機能
【ファミリー共有機能とは】
サブスクリプションモデルのアプリは家族で共有することが可能。家族料金で支払いをすれば、一家全員がサブスクリプションを使用することができる。
【予想されるユーザー行動】
同じようなアプリがあった場合、家族で共有できるサブスクアプリが選択される。
【デベロッパーへの影響】
単発課金よりも、家族で共有できるサブスクアプリのほうがより選択されるようになる可能性あり。設定を ON にすればどんなアプリでも共有できてしまうのかは要確認。VOD や新聞アプリなどが家族共有の対応を迫られる可能性がある。
※VOD = Video On Demand (視聴者が観たい時に様々な映像コンテンツを視聴することができるサービス)
出会い系アプリとか間違って家族に共有しないように気をつけましょうね。笑
アプリデベロッパーには直接関係ないが、VOD のサブスクが家族で共有できるようになれば、動画の再生数が増え、ギガの消費は多くなって、wifi の契約が増えるかも。携帯会社にとっては通信量が増えて良いかもしれないですねw
【求められる対応】
アプリストアで、共有可能なことを推して CVR が高くなるようなスクリーンショットを作成し設定する必要がある。
五.ピクチャー イン ピクチャー
ここからは、比較的デベロッパーに影響がなさそうな機能です。
【ピクチャー イン ピクチャーとは】
再生中のビデオを小さなウィンドウに表示しながら他のアプリを使用できる新機能です。バックグラウンド再生が音声だけじゃなく映像にも対応した、みたいなイメージかな。
【デベロッパーへの影響】
ながら再生が増えるため、ユーザーの滞在時間が上がります。
六.ウィジェット機能の変更
【どう変更されるのか】
現在の仕様では、ロック画面やホーム画面を左から右にスワイプした時に表示されるアプリのショートカット機能のことを「ウィジェット」といいます。ウィジェットには、News や株価など、よく使うアプリの情報を表示することができます。
今回のアップデートでは、これまでスワイプした画面にしか配置できなかったウィジェットがホーム画面に配置できるようになったり、表示するサイズを変更できるようになったりします。
えっこれって Androi...(ry
【予想されるユーザー行動】
似たようなアプリが複数あるときに『ウィジェット機能が便利なアプリ』を選ぶようになるかも?
【デベロッパーへの影響】
ウィジェット機能の拡充や、それをアピールすることが求められるかもしれない
【求められる対応】
アプリストアに、ウィジェット機能を訴求したスクリーンショットや説明文のを追加したり、初回起動時のチュートリアルにウィジェット機能の説明を追加する必要がある。
以上、こんなかんじです!いかがだったでしょうか?
デベロッパーの皆様は、これら iOS14 のアップデートに対応できなくなると優勝劣敗がさらに激しくなってしまうかもしれません。変化に取り残されないようにするには、事前に出た情報からある程度予測して、あらかじめ対応しておくことをオススメします。
そうすると、変化が起きた時に『何が変わったのか』『何が予想と違ったのか』が分かるから、対策が立てやすいです。
リバティーンズ社は検索と ASO だけの会社だと思っていたのですが (スミマセン)、それらを含めて今後どんなアルゴリズム変更が起きた時にも対応アドバイス可能だそうです。どういう対応を行えばよいのかわからなければ気軽にご相談してみて下さい!
最後に...これはまだ iOS14 が正式リリースされていない状態での予想なので、間違っていたらすいません。笑
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