高値がつく "アート" と "ラグジュアリー" ビジネスの共通点と、最近読んでる『新ラグジュアリー』
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高値がつく "アート" と "ラグジュアリー" ビジネスの共通点と、最近読んでる『新ラグジュアリー』

Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)

こんにちは!外資サラリーマン・エンジェル投資家の坂本です。

きっかけと経緯

エンジェル投資をやっていることを公言しているせいか、時々知らない人からビジネスの相談をされたりします。

もう 1 年以上前になりますが、あるとき若い男の子から「ファッションのハイブランドを立ち上げたい。どうすればいい?」という相談を受けました。

僕はファッションにもブランドにも明るくなかったものの、「ファッションブランドって成功の方程式みたいなものはあるのか?」と興味が湧き、色んな知り合いに雑に話題を投げかけてみました。

まず Appify 社 CVO (Chief Value Officer) のすがけんさんに「アートビジネスを調べてみると良いよ」というアドバイスをもらいました。

何の本を読もうかなぁと思っていると、中高の同級生のたくやが SNS で芸術起業論 (村上隆 著)という本を紹介していたので、読んでみることにしました。
確かにこれはヒント満載でした。

最後に、ICC サミットのスタッフ仲間で、フランスの MBA に行ってたえのっきーから「ラグジュアリービジネスの教科書といえばコレですよ」と、カプフェレ教授のラグジュアリー論 (ジャン=ノエル カプフェレ 著)という本を教えてもらいました。

これらを読んでぼんやり、高い価値をつける『アート』と『ラグジュアリーブランド』の共通点が見えてきました。全部で 4 つあります。

共通点1: 需要>供給

1 つ目は、供給量をコントロールすることで、常に『需要のほうが供給よりも大きい』つまり『欲しいのに手に入らない』状況をキープすることです。

古典派経済学の基本で、そうすると価格が高くなりますね。アダムスミス。神の見えざる手。マラドーナ。(←ちがう)

ただしこれ、『たくさん作って売れるだけ売る』をやってはいけないことになるので、ビジネス成長との両立が難しい、資本主義との共存が難しいんですよね。

常に『需要』を伸ばし続けないと、個数 and/or 価格が下落してしまうリスクがあります。

共通点2: 価値を裏付ける第三者がいる

いくら供給量が少なくても、例えば「坂本達夫が鼻をかんだちり紙 edition 001」みたいなものには価値が無いわけです。誰も欲しがらない。

じゃあ人が『欲しがる』ものは何かというと、誰かが『これは価値がある』と "お墨付き" をくれたもの。

アートでいうとそれは『ギャラリー』であり、ファッションでいうと『コレクション』や一部の『雑誌』です。

映画『プラダを着た悪魔』のミランダ (雑誌の編集長) があれだけのパワーを持っていたのは、彼女に『価値を保証する』パワーがあったから、なんです。彼女が無価値だと言えば、無価値になる。

1988年~ US版『Vogue』編集長を務めたアナ・ウィンターがモデルだと言われている

共通点3: 時代のコンテクストやストーリーなど『意味』がある

もちろん、技術の裏付けがあることは大前提ですが、アートもファッションも、ただ『技巧が優れている』『見た目が美しい』というだけで価値がついているわけではない。

それらが『何故、良いのか』というコンテクストが必要なのです。

デザイナーが、アーティストが、この時代に何故これを作ったのか?何を伝えたかったのか?
この思考や解釈こそがアート、ファッションの価値の大部分を占めています。見るだけではなく、考えて楽しむものなのです。らしいです。

そのコンテクストの要素の 1 つに、作り手が誰なのか (生い立ち、思想、過去の作品からの変遷、など) が大きな構成要素としてあります。
それがアーティストやデザイナーの『個』の重要性の裏付けになっているわけです。

共通点4: 二次流通 (セカンダリ) で一次流通 (プライマリ) よりも高い値段がつく

これはあくまで結果論ですが、セカンダリで値段がつくことが分かっていると、安心してプライマリで値段をつけることが出来るようになります。

これが共通点 1 で説明した『需要>供給』という状況を作り出すのに大いに貢献します。

というより、数に限りがあるため、むしろ『欲しいのに買えない』状況になり、投機目的なのか観賞用なのかは差し置いて、セカンダリマーケットで『高値でも欲しい』という人が待ち構えているという状態になります。

この記事では現代アートやハイファッションの文脈で説明しましたが、身近なところでいうとスニーカーなんかも同じような状況ですよね。
発売前から二次流通で、元値より高い価格がついてますし。

すがけんさんのいる Appify (Shopify のストアをスマホアプリ化できるサービス) が『抽選販売』という機能をサポートしてるのも、こういった『需要>供給』で高い価値がつくようなブランドや、そのファンのニーズに応えているのでしょう。

新潮流が出てきているらしいという話

こういったテクニカルな話は当然すでに先人たちが研究を進めていて、MBA でも教えられるようになっています。
冒頭で紹介した本『カプフェレ教授のラグジュアリー論 (ジャン=ノエル カプフェレ 著)』なんかがまさにそれですね。

そして『ラグジュアリーなのに大量生産』という、必殺技が無限に打てるみたいな、資本家の要求にもバッチリ応えられるようなメソッドが、特に欧米系のハイブランド・コングロマリットにより展開されています。

が、しかし。

昨今、こういった状況に対する消費者の『疲弊』と『覚醒』によって、このような "作られた" ラグジュアリーから離れ、より "文化的な" アプローチのブランドに対する選好が高まる - という流れが起きてきているそうです。
特に Z 世代 (1990 年代後半から 2000 年代に生まれた人) で顕著な傾向だそうな。

SNS の発展によって『人工的に作られた』もののメッキが簡単にはがれてしまうとか、サステイナビリティへの関心の高まり (大量生産・大量消費とはやはり相性が悪い概念) なんかも背景にあるんですかね。

みたいなことが、クラシコム (北欧、暮らしの道具店) の青木さんがオススメしていた『新ラグジュアリー (安西洋之 | 中野香織 著)』に書いてあるっぽいです。2022.4.22 現在、まだ進捗 25% ぐらい。

最後に

調べたり考えたりしてみて面白かったのが、

  • 『価値の源』とか『人が何に価値を感じるのか』というのは一定ではない

  • 意外と短い期間で大きく変化することがある

という点でした。

今回のようなハイエンドなモノ・サービスに限らないし、もしかすると toC だけでなく toB でもこういう変化は起こるのかもしれません。
というか、起こる前提で準備をしておいたほうが良いでしょうね。

この記事が、アートやラグジュアリーに限らず、何らか『価値』を生み出してビジネスをしようとする人にとって価値あるものになりますように。

そんなかんじですかね!

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Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)

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Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)
モバイルアプリマーケティングの専門家です。外資系広告プラットフォーム企業勤務。ちょっぴりエンジェル投資なんかもしてます。アプリ開発もやってます。