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事業プランの良し悪しではエンジェル投資の判断をしません→何で判断しているのか?

ぼくはエンジェル投資をこれまで35社以上にしています。(2020年6月末時点)

ぼくのポートフォリオは Angel Port で見られます

という話をするとよく聞かれるのが「投資する会社をどのように決めているのですか?」という質問です。

残念ながらまだ『成功の方程式』と言えるようなものは見つかっていないのですが、これまでの経験から、『これを基準に投資判断をしない』と決めているものがあります。

それは『事業プランがイケているかどうか』です。

これを言うと意外に思われるので、この記事ではその理由を解説します。

『事業プランがイケてるかどうか』で投資を決めない理由

ステージが若い会社に投資することが多いエンジェル投資なので、事業モデルがまだ固まっていない会社や、まだアイデア段階の会社にエンジェル投資することも多々あります。

その結果何が起きているかというと、体感 1/3〜1/2 ぐらいの投資先が『投資した時と現在とでやっている事業が全く違う』けど『事業が伸びている』って状態になっているのです。

例えば WED 社。社長の山内さんは、投資した当時まだ高校生でした。会社名はウォルト社 (のちにワンファイナンシャル社を挟んで、現在の WED に社名変更) で、やろうとしていた事業は木村新司さん率いる Anypay (paymo) の競合にあたる『個人間送金アプリ』でした。

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投資した段階ではまだアプリはリリースされていませんでしたし、その後 stand alone の個人間送金のアプリで日本で成功を収めた会社というのは (ぼくの知りうる限りでは) ひとつも出ていません。『個人間送金アプリ』という事業にベットしていたとしたら、ぼくは大負けしていると言えます。

同社も別の事業にピボットしました。具体的には、2018年に出したレシート買取アプリ ONE がヒットして、今ではそれが事業の柱になっています。当時メディアでも話題になりましたし、あんま詳しくは話せませんが、着実にグロースしています。

別の例で、比較的最近投資した、『ゆずしお』こと福田さんが社長を務める D Technologies 社。ぼくが出資を決めたタイミングでは、ヘアケア領域の D2C 事業をやろうとしていました。

D2C をやるということで、その領域に知見の深い知り合いをエンジェル投資家として紹介し、その人からも出資してもらったりもしました。

しかし気づけば同社は、最近流行りの “ノーコード” でアプリを作れる『Appifyというプロダクトを出し、先日には BASE と事業提携をして『BASEでお店を出しているショップは、簡単に自社アプリを作れる』いうソリューションを提供し始めました。全然ちゃうやんけ。

チャットボットのソリューション『Engagebot』を提供している REACT という会社は、ぼくが投資した当初何をやっていたかというと...正直、全く覚えていません。

Weave という今はなきビジネスマッチングアプリで社長の加藤さんと出会い、定期的にカフェとかで会ってお話をしていました。どういう事業をやろうか〜と、アイデアレベルで色々ディスカッションしましたし、今やっている事業とは全然違うものばかりでした。

例えば『東大生に、リュックのように iPad を背負ってもらい、その端末に動画広告を流すことで、東大生にリーチできるメディアを作る』というもの。

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意味わからんけど、当時は真面目に事業化を検討していたんですよね...

このように、まったく違う事業にピボットした投資先は、他にもたくさんあります。

これらの経験を通じてぼくは、事業プランの良し悪しで投資を極めるのは、あまり筋が良くないのではないか...という仮説を持つようになったのです。

いくら『これはいける』と思っている事業でも、実際やってみると全然イケないこともあります。一方、そこからピボットして新しい事業で成功することも、多々あるからです。

ただ実際には、投資先候補となる新しいスタートアップと会う際、事業プランを “聞かない” ということはありません。感じ悪いし、「あぁ事業の説明はしなくていいです✋」とか。ぼくなら「は?」ってなる。

では次に、事業プランを聞きながらぼくが何を見ているのか、というところを説明していきたいと思います。

実際の投資時にぼくが見ているところ

ぼくが見ようとしているのは、『事業プランそのものの良し悪し』というより、その事業プランに至った『調査して分かったこと』『仮説の立て方』『考えの道筋』などです。向こうからのピッチだけでなく、ぼくからの質問に対する答えなどを通じて、なるべく見出そうと試みています。

それらを見ることで『論理的思考能力』『リサーチ力』『仮説・戦略の立案能力』『マーケット・競合分析』などといった、事業プランの背後にある創業者やチームの能力・資質や考え方の癖、みたいな部分を頑張って見極めようと努力しています。

仮にその事業プランが『イケてない』ということがわかったとしてもですよ?
きちんとした調査に基づいて、仮説・戦略・アクションプランを立て、実行し、検証し、ということがきちんと出来る人であればですよ?
元々のとは違うビジネスプランを、新しくゼロから考えて実行するということが、再現性高く出来そうじゃないですか。

実際、この記事の前半で例を挙げたような会社の創業メンバーの皆さんは、それをやってきているわけです。

言ってしまえば、キャッシュが尽きるまでの間に、仮説をたてて、実行して、検証して、というのを、『当たり』が出るまで繰り返しやり続けばいいわけですよ。
『最初に良いプランを持っている』ことよりも、その PDCA サイクルを高い精度で回せる能力があることのほうが重要です。

逆に、例えば『この特定の問題を、この特定の方法で解決したい』というプランありきで起業してしまったような人とかは、仮にそのプランが駄目だと分かった時にどうするんでしょうか?
新しい問題を発見し、解き方を考え、実行してみて、というのが出来る人であれば良いですが、そうでなかった場合は THE END です。

なので前述のように、そのビジネスプランに至った考え方、仮説・戦略立案能力、リサーチ能力などを基準に投資判断をするというのも、一つのやり方としてありなのではないかと思っています。

リサーチひとつとっても、例えばぼくが何かしら質問をした時に、どんな質問に対しても「それはこういうことなんですよ」とすぐに解説ができる人は、すごくいいなあと思います。

初めてピッチを聞いたぼくが疑問に思うようなことなんて、24 時間ずっとその事業のことを考えている人であれば、当然すでに考えていて然るべきですよね。
深く考えた上での答えをぱっと出せたり、もっともらしい仮説がすぐに出てくる人っていうのは、きちんと思考を深められている人なんだな、という風にぼくは判断します。

起業家の人間性はこういうところを見てます

加えて、結果的に『これがあるとうまくいってることが多い』と感じているポイントというのは、言語化するの結構難しいんですけど、創業者・経営者の人間性みたいな部分。責任感だったり、やり切る力であったり、人を巻き込む力であったり。

なかなか短期間で見極めることは難しいんですけどね。

事業を立ち上げて成功に導くためには、共同創業者・投資家・従業員・顧客・事業パートナーなど、多くの人を巻き込んでいく必要があります。
個人としての魅力だったり、ビジョンだったり、何らかの形で人を巻き込む力がある人は強いですね。

あとは、投資家からお金を預かる以上『何が何でも成功して、投資家に対してもリターンを出してやろう』という強い意志を持っている人、の方が、結果的にはうまくいっていることが多い...
と言うか、それなしに上手くいってる人っていうのをパッと思いつきません。

自分の方から『出資したんだから絶対リターン出せよな』って言うのは、なんか違うなという風に思っていて。ぼくは出資した時点で、そのお金はなくなったものだと心の中で減損処理をして、知識・経験という学びが得られればよし、お金は少しでも返ってきたら超ラッキーだと思うようにしてます。

ただ起業家の側には、当たり前のこととして『リターンを出すぞ』という気持ちでいてほしいし、それはぼく以外の全ての投資家に対しても同じ想いを持っていてほしいです。

『投資家に対してリターンをだす!』でも、『事業を成功させる!』でも、『従業員のために!』でも何でもいいんですけど、頑張る “モチベーション” に ”理由がある” はやっぱり頑張りますし、持続するんですよね。

起業って面倒なこと・大変なこと・辛いこともいっぱいあるので、そういう強いモチベーションがあるのとないのでは、やっぱり結構違ってくるのかなって思います。しんどい時とかに相談してもらえるのは全然 welcome ですが、それとはまた別で。

という感じで、ぼくがエンジェル出資をする時に
✅ 事業プランの良し悪しでは出資判断をせず
✅ よりその創業者本人の能力・資質であったり、人間性ややる気みたいな部分を見ていて
✅ それを見極める際の参考として、事業プランを "触媒" のように使っている
というお話でした。

あくまでこれはぼくのスタイルなので、他の人にオススメ・強制するつもりはないです。
また、他のエンジェル投資家の先輩方や、職業として VC として投資をされている方が、どういう点をシード・アーリーステージのスタートアップに見ているのかという点は非常に興味があります。良ければ是非コメント等で教えていただきたいです。

余談というか免責というか

ほんとは、ぼくなんてビジネスマンとしても人間としても大したことないのに、事業や起業家の人間性を見極めるなんて、超おこがましいと思ってるんですけどね...

よく質問されるってことは、シェアすることで皆さんのお役に立てるのかなと思い、恥ずかしながら記事にしてみました。

そしてこんな偉そうなこと書いてますが、ぼくの目利きは正直全然当たってませんww 当然、全投資先『イケるやろ!!』と思って出資してるんですが、百発百中とはいかず、なかなか難しいですね。

ただ、まだ花開いてないだけでいつかは大きな花を咲かせてくれるはずだ、と全投資先に期待を寄せているのもまた事実です。

んで、エンジェル・シード期の投資の打率を上げるために大事なのはぶっちゃけ、この記事で書いたような『見極め』ではなく、『数を出す・面を取る』ことと『質の高いリードソースを確保する』ことかなと思ってます。

需要があればその記事も書くので、読みたいって方は何らかの方法で教えてくださいませ!

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へぇ、こういうのがスキなんや(ニヤニヤ
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モバイルアプリマーケティングの専門家です。外資系広告プラットフォーム企業勤務。ちょっぴりエンジェル投資なんかもしてます。アプリ開発もやってます。

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本業:外資系スタートアップの日本進出、趣味:育児とエンジェル投資。日々思考していることや、面白いサービスや人の紹介、などを不定期に書きます。

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