外資の日本立ち上げ時における、賃金の受け取り方のパターンを解説
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外資の日本立ち上げ時における、賃金の受け取り方のパターンを解説

AppLovin, Smartly と 2 社連続で『外資系企業の日本 1 人目』をやっているので、時々、同じようにこれから外資系企業の日本立ち上げをやるって方からこんな質問をされます。

 ❓ 初めから日本法人を作った?最初は個人事業主だった?
 ❓ 会社からの給料の受け取りってどうやっていた?
 ❓ 保険や年金はどうしている?

この記事では、自分が経験した & 友達が実際にとった 3 つの方法について解説します。

1. 日本法人ありパターン (Smartly のケース)

坂本達夫のスタートアップ酒場 (19)

実は Smartly は僕が入る時点で既に日本法人設立済みでした。本社の社長が日本法人の代表。外資系企業のバックオフィス代行会社が、日本法人のオペレーション (ぼくへの給与の支払い等) をやってくれています。

本社は日本法人にユーロ (Smartly はヨーロッパ企業なので) で日本法人社員の人件費 (年金や保険や経費精算など全て含む) を支払い、従業員は日本法人から日本円で毎月給与を受け取ります。

要するに、日本法人に所属しているサラリーマンっちゅうことです。従業員目線では一番楽ですね。本社側が手間とコストをかけている、ということでもありますが。

2. 日本法人なし個人事業主パターン (AppLovin のケース)

坂本達夫のスタートアップ酒場 (20)

Smartly の前に働いていた AppLovin は、最初 1 年ぐらい日本法人がなかったので、個人で業務委託契約でした。英語の長い契約書を読んで、理解して、条件交渉して...ってやらないといけないので、慣れないとけっこうしんどいです (嘘です、ろくに読まずにサインしました)。

日本法人をすぐに作らなかった理由は主にこんなかんじです。

✅ 日本が立ち上がる保証がまだなかった
✅ 1 人 (ぼく) を採用するためだけに法人設立・運営のコストをかけるのは非効率

なので、日本である程度売上が立って、採用を進めていこうと決まった時点で日本法人を設立しようと決めました。んで実際 1 年後までにビジネスが立ち上がって、日本を最低 3 人以上の組織にすることが確定したタイミングで日本法人を設立しました。

業務委託だった頃は、保険や年金は全て個人で負担していました。(半分会社負担、ってやつがない) そのぶん、月に 1,000 ドルぐらい交渉してフィーに上乗せしてもらいました。

支払いはドル建てで、ぼくから毎月請求書を発行 = pdf をメールで送り (ネットで拾った、すごい雑なフォーマット)、SBI ネット銀行のドル建て口座に振り込んでもらっていました。定期的に円に換えて、メイン口座に移動させる必要があり、ちょっと面倒でしたね。忘れるとカードの支払いが遅れてしまうので。

あと地味に面倒だったのが、銀行に毎回
 ☑️ 資金源および送金の目的(資金使途)
 ☑️ 北朝鮮及びイランに関係する送金に該当しないこと
を報告
しないと、給料 (業務委託料) の支払いを受け取れなかったことです。(アカンことに口座が使われないための対策。どの銀行でも同じ)

このパターンは何気に一番リスクが高い方法です。日本の法人に雇用されていないってことは、法律的には解雇規制の対象にならないので、パフォーマンスが悪いとか、本社の業績悪化とかで、すぐクビを切られてしまうリスクがあります。

外資系だとそのリスクは常に日系企業より大きいのですが (日本の法律を無視して即・斬してくる会社も少なくないため)、法律に守られているかどうか、裁判で争って勝てる目がどれぐらいあるか、といった観点だと『業務委託契約』のほうがより立場が弱いという認識です

一方で、会社員であれば経費として請求できないようなものも、個人事業主として確定申告すれば控除の対象になる、というメリットもあります。何をどれぐらい費用に計上できるのか、とかは専門家に聞いてください。(僕はこの頃から税理士さんに依頼して確定申告を全部やってもらってます)

超余談ですが、AppLovin に最初ジョインした頃は $1 = 120 円ぐらいだったんですよね。日本法人立ち上げの頃には $1 = 103 円ぐらいに円高になっていて、そのタイミングのレートで日本円での給料が決まったので、前年比でお給料 15% ぐらい下がって涙目でした。為替リスクがあるなんて、誰も教えてくれなかったです。

3. PEO を使うパターン

坂本達夫のスタートアップ酒場 (21)

これは僕自身ではなく友人に聞いたケースなのですが、PEO (Professional Employer Organization) という組織を (本社が) 活用するという手があります。

PEO とは日本語で「習熟作業者派遣組織」のことで、インターナショナル企業の雇用関係に限らず活用されているスキームです。(US とかで出てきてるモデルらしい)

 ✅ プロフェッショナル人材を PEO が雇用
 ✅ 企業は、それぞれの人材と雇用契約を巻くかわりに PEO とアウトソーシング契約を巻く
 ✅ 企業は固定費を抑える、間接コストを削減するといったメリットがある
 ✅ 人材側もいちおう PEO とは雇用関係になるので、社保や年金など会社に半分負担してもらえたり、雇用保険などの対象になる...っぽい多分

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出典: What is PEO

個人的にはあんまり聞いたことはないパターンなのですが、雇用主側は面倒な海外子会社設立・管理の手間・コストを削減でき、労働者側もリスクの軽減になる、面白い制度だなと思いました。


こんなかんじです!もし『他にもこういうスキームがあるよ』ってのをご存知の方いらっしゃいましたら、ぜひ Twitter @tatsuosakamoto まで教えてください。自分が日本法人の役員になる (本社と共同出資することも) パターンや、個人ではなく法人で業務を請け負うっていうパターンもあるな...気が向いたら追記します。

あんまりまとまってる記事がなかったので書いてみましたが、役に立ったよって方はぜひコメントやシェアしてもらえると嬉しいです (他にも役立つテーマで書こうかなって気になります)。note って投げ銭機能もあるんですよねご存知でしたか?

たつお

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Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)

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まじかー。うわっ、まじかー///
モバイルアプリマーケティングの専門家です。外資系広告プラットフォーム企業勤務。ちょっぴりエンジェル投資なんかもしてます。アプリ開発もやってます。