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僕のエンジェル投資のスタイル - 支援編

Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)

外資サラリーマン & エンジェル投資家の坂本達夫です。時々人から聞かれる『エンジェル投資のお作法』についての連続記事の第 2 弾です。この記事だけ読んでも意味わかりますが、前回記事を読みたい方はコチラをどうぞ。

それでは本編スタートです。

エンジェル、実務支援求められるとシンドくない?

よくある質問③『投資をしてる時点で、自分の身銭を切ってお金を入れてるから、すでにギブしている。けど一方では、投資の機会をもらうみたいな、テイク的な意味合いもありますよね。
お金以外でも自分の得意領域で支援したい気持ちはありつつ、例えば「週 2 で定例に出て」みたいな話になると、お金を入れているのにさらに時間も拘束されるものなのか?みたいな違和感も覚えちゃって。
このへんの温度感とか距離感みたいなのが、全然わからないのです。』

これもまた難しいですよね。ぶっちゃけ、スタートアップ側と投資家側との期待値がちゃんと合っていさえすれば、どんな形でもいいとは思うんですよ。

投資家の側も、お金を出したんだからあとは好きに頑張ってねみたいなハンズオフ (hands-off) な人もいれば、ハンズオン (hands-on) でめっちゃ助けますよって人もいる。ハンズオンするのは『助けたいから』というモチベーションのこともあれば、投資先が成功したら自分にリターンがあるからという『自分のベネフィットのため』にやっているケースもある。

あと『ハンズイフ (hands-if)』とかって言ったりするんですけど、基本ハンズオフでわーわー言わないんだけど、「助けて」とかリクエストされたときだけハンズオンで手伝うよというタイプの投資家。「自分たちはハンズイフです(ドヤァ」とカッコよく言ったりしてね。なので、結構グラデーションがあります。

>>そういう感じなんですね。

原則からすると、投資家はお金を出している時点でリスクを取っているし、有限責任なので、出したお金以上の義務・リスクは負わないということになります。逆に言うと、会社のお金がなくなって潰れたとしても、文句は言いません、というのが資本主義の原理。なので、手伝う『義務』は明確に『無い』と思います。

とはいえ VC など仕事として投資をやっている方たちは、イケてるスタートアップに『投資させてほしい』モチベーションがより強い。VC も選ばれる側ってことです。なので「こんな支援が出来ます」ってのをアピールしたりします。

海外の有名 VC の中には、採用・人事やグロースのところなど、スタートアップを支援する強いチームを自分たちで持ってるところもあります。上手く運用できたら、投資先の打率も上がるし、良い投資先を見つけたり選んでもらえる引力になるし、双方にとって良いですよね。日本でも追従する動きが出てきています。

投資家側がどれくらい手伝う意志があるかを、それを起業家側にきちんと伝えた上で、うまい落としどころを探っていくことになります。本当はその目線合わせを、投資する前に出来るとよりよいですけどね。

投資家を『うまく使える』起業家は強い

自分の投資先の中でも、投資家使いが上手いというか、ふわっと言うと後輩力みたいなのが高い社長は強いですね。困っているときに「ちょっと困ってます、助けて」と言えるかどうか。

どんな方法を取ってでも進めば勝ちなわけじゃないですか、スタートアップなんて。なので、助けてほしいときに「助けて」と言えるとか、言いたいときに言えるように普段から関係性を良好に保っておくとか、そういうのが上手い経営者は強いなとは思いますね。

一方で、ほとんどのエンジェル投資家はほかに本業があるし、そこを無視してコミュニケーションして、これもあれもやってくれとかって要求すると、ハレーションが起きたりする。

"拠出したもの" と "報酬"、"得られた価値" と "対価" の一致

僕の考えとしては、基本的には継続的に何かしらリソースをもらうのであれば、リソースに対しての対価は支払うべき。週イチ週 2 とかで投資家の時間を必ず取ってくださいというんだったら、それに見合った対価を、基本的には払うべきだと思っています。株主でもね。

とはいえ、時給いくらねとかってやっちゃうとギスギスしちゃうので...たまに、月に 1-2 回時間くださいとか、不定期に時間ちょうだい、ぐらいは、こっちも勉強になるから全然いいよ、みたいな感じで普段やっています。

余談ですが、相手のリソースを奪うことに対して対価を払わないことが普通だと思っているようなタイプの人は、経験上、他のところでも揉めがちな感じがしますね。業務委託の方と報酬のことで揉めたり、とか。

>>リソースを割いてくれる人に対してのしかるべき対価みたいな話で、対価の受け取り方としては株以外にもあるんですか?

普通に現金で受け取ることもありますよ。業務委託費みたいな感じで。ちゃんと調べたわけじゃないですが、株主が業務委託として働いているケースはありますし、多分法的にも OK なんじゃないかと。

僕も過去に、起業家のほうから、大事なイベントがある前後 1 カ月ぐらいとかだけ密にコミュニケーションを取りたいから、週イチ 1 時間欲しい、その代わり 1 カ月数万円払います、みたいに言ってきたところは前にありました。

 坂本個人の、投資先との関わり方

よくある質問④『坂本さんは投資先支援として、どういう関わり方が多いんですか?』

まず前提として僕の投資先って、僕の専門が生きないようなところも多いんですよ。例えば、マーケとかプロモーションとかを行うフェーズまで至っていないところや、アプリも持っていないところも多い。なので、投資先との関わり方は結構ばらばらです。

逆に言うと、出資する・しないのお話をするタイミングで、そこは正直に伝えていまず。そもそも大した金額を出すわけじゃない。僕が役に立たなかったら『事務手続きをする相手が増える』だけ。僕からの投資を受けるのは、あまり合理的じゃない。

その上で、僕に何を期待しているのか、僕がそれを提供できそうか、という目線を合わせた上で投資に至ったほうがいいよね、という話を投資する前にしています。

例えば、SaaS の営業のやり方を教えてほしいですとか、投資家や取引先候補を紹介してほしいですとか、壁打ち手伝って欲しいとか、PR TIMES を必ずシェアしてくださいねとか。

起業家側から見ても、投資家はチームなので、お金をすごく出す投資家と、めっちゃ事業のアドバイスをくれる投資家と、しんどいときに悩み相談できる投資家と、みたいな感じで、必要な役割りを適切に分散できているのが理想。

そういうのも会話しながら「じゃ、僕はこういうところを手伝えれば、あなたにとって価値があるんですかね」って合意形成してから投資するようにしています。

良いスタートアップには全部投資したいっちゃしたいんですが、自分の貢献ゼロで成功したとして、自分にとって幸福度あんまり高くないので。

自分が思っている、起業家にとっての自分の価値

結果的には雑談相手になるというのが一番、起業家にとってのバリューなのかなと思っています。向こうがどう思ってるかは分からないですが。

例えば経営者が悩んでいるとき、社員に相談できない内容もあるじゃないですか。悩みの種類によっては VC にも相談できなかったりする。「弱気に見られるんじゃないか」みたいに本音で自己開示できないってケースや、VC と利害が反する、例えばダウンラウンドでの調達、M&A での EXIT、または VC 自体が悩みの原因だ、とか。

ある程度は社内や事業や人のこともわかっていて、前提条件をイチから説明しなくても相談できる相手の存在って、そういうシチュエーションでめっちゃ効くんですよ。

なので僕はそういうポジションを取ってます。実務面はできる範囲でサポートするけど、特に継続的にハンズオン支援が必要なんだったら、副業で手伝える人を見つける・採用するのを手伝う。自分は時々、しんどいこと、社内の不和とか組織崩壊とか色んなことが起きるから、そのときはいつでも話せる相手として存在していようと、勝手ながら思っています。

>>それは自分でも力になれるかもしれない。
(注: 相談者は上場企業でマネージャをされている方)

そうですよね、ご自身もずっと経営されているので分かると思うんですが、組織のピラミッドを上にあがっていけばいくほど、相談できる相手が減ってくる、みたいなところあるじゃないですか。

もしかすると心理的サポートの必要性に気づくのは今じゃなくて、もうちょっと後かもしれないですけどね。特に最初の起業だったら。


今回はこんなかんじですかね!次回は投資家から見た M&A による EXIT のことをサラッと書いて、このシリーズ終わりにします。

他にも聞きたいことがある方や、感想など、コメントや SNS でお待ちしてます。

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Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)

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Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)
モバイルアプリマーケティングの専門家です。外資系広告プラットフォーム企業勤務。ちょっぴりエンジェル投資なんかもしてます。アプリ開発もやってます。