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「ロイヤルユーザー」を定義する方法とは?

投資先に聞かれた質問です。

1. 「ロイヤルユーザー」の定義はアプリごとに違うと思うのですが、どのようにロイヤルユーザーを定義すればよいでしょうか?

2. アプリ内で課金してるユーザーや、継続率が高いユーザー(一般的にロイヤルユーザーと呼ばれるユーザー)が「どのようにしてロイヤルユーザー化するのか」、あるいは、例えば「アプリ初回起動時にどのような行動を取っているのか」など分析したい場合は、どのように計測すればよいのでしょうか?

これに対して、同じくそのスタートアップに投資している元同僚・萬野氏 (AppLovin) と回答した内容を、この記事では紹介しています。
(その投資先に specific な内容が特にないので)

「ロイヤルユーザー」を定義する前に、分析しないといけない

まず、「ロイヤルユーザー」の定義はほんとサービスによって異なります。

極端な話、1年に1回しかそのサービス使わなくても、「ロイヤルユーザー」だってケースもあり得るわけです。

例えば、「母の日には必ずこの花屋でしかお花を買わない」ってユーザーは、ロイヤルユーザーと見ることもできますよね。
(そのユーザーの中でのロイヤリティが高い、という意味で)

一般化すると「他に類似サービスがある中から、自社サービスを選んで使ってくれるユーザー」をロイヤルユーザーと定義することが多いように思います。

あるいは、事業者目線でいうと、「ロイヤルユーザー」は「そのサービスへの寄与が高いユーザー」と言い換えることができます。

それらのユーザーは、どんな属性や行動パターンを共通して持つのか、というのを「発見」しないといけないので、「分析」のほうが「定義」より先にきます。

なので先の質問でいうと、2. のほうが先にきて、1. はその分析結果を言語化すればいいということになるのです。

なおこの「分析」は、オンラインで完結する類のサービスについてはデータでほぼ完結してしまうケースもありますが、場合によっては (データに出てこない行動や心理を把握するため) ユーザーインタビューを行ったほうがいいこともあります。

元スマートニュース西口さんの著書に出てくる「N=1 分析」というのが非常に参考になるので、よければ読んでみることをオススメします!

アプリユーザーの行動分析

元々の質問👇
2. アプリ内で課金してるユーザーや、継続率が高いユーザー(一般的にロイヤルユーザーと呼ばれるユーザー)が「どのようにしてロイヤルユーザー化するのか」、あるいは、例えば「アプリ初回起動時にどのような行動を取っているのか」など分析したい場合は、どのように計測すればよいのでしょうか?

AppsFlyer, Adjust, Firebase, KARTE, Repro みたいなツールを使って、ユーザーのアプリ内行動のログをとるところがスタートです。 

ツールの種類の違いや、機能・良し悪しについて書くと、それだけで1記事分以上のボリュームになってしまうので、今回は割愛w

その後、「課金しているユーザー vs そうではないユーザー」「7日後起動しているユーザー vs そうではないユーザー」みたいに分けて、行動パターンの分析から、それぞれの間で何が違いを "生み出して" いるのかという仮説を立てるというプロセスになります。

某オークションサービスでロイヤルユーザーを定義しようと試みた事例

例えば、僕が以前マーケティングをしていた某 C2C ECプラットフォームでは、継続ユーザーとそれ以外での差異を調べてみたところ、「売り手・買い手の両方をやったことがある」ユーザーの継続率が高いということが分かりました。

なので、「買い手しかやったことがないユーザーに、売る体験をさせると、継続利用してくれる率が上がるのではないか」という仮説を立てて、

買い手しかやったことがないユーザーを1,000人ぐらい (だったかな? 計算して、統計的有意差を出すのに十分な数だったことは覚えてる) 抽出して、そのユーザーだけに「出品手数料無料」施策 (だったかな) を実施して、全員ではないけど出品体験をしてもらって、

その施策を当てていないユーザーと比べて (split test というやつです)、本当に継続率が高くなっているのか? を分析しました。
(結果、仮説の通り、継続率は上がっていました)

相関と因果に注意

このテストをしないといけない理由は、上記の例でいうと「もともとサービスにロイヤリティ高いから、買いも売りもやったことがある」というだけの可能性があるんですね。

つまり、無理やり「買い経験者」に売りを経験させても、それでロイヤリティが上がるわけではない、という可能性があるからです。

「買い・売りを両方経験していること」と「サービスの継続利用」には相関関係があるということが分かっても、それらのどちらが「因」で「果」なのか、または、両方に共通する別の「因」がないか、をちゃんと考えないと、的外れな施策を打つことに繋がってしまいます。

相関関係と因果関係の違いについてぐぐってみたんですが、この記事とか具体例で説明されてて分かりやすかったです。

ロイヤルユーザーの定義

先にも書きましたが、「ロイヤルユーザー」を一般的に言語化すると、「他に類似サービスがある中から、自社サービスを使ってくれるユーザー」というのがイメージに近いのではないでしょうか。

「類似サービス」というのは、例えばクラウド会計における freee, マネフォ, 弥生みたいなものは分かりやすいですよね。

ただ、例えば「ゲーム」の競合は「他のゲーム」なのかというと、それだけでは不十分な可能性が高い。

同じユーザーの「可処分時間の取り合い」って意味では、他のエンタメアプリ (Tiktok, マンガアプリ, Netflix, etc) とか、もっというとアプリ以外の時間つぶし手段全て (テレビ, 映画, etc) が競合関係にあるといえばあるわけなので。

しかし、そういったものの中から「あなたは弊社のゲームを選びますか?」みたいにインタビューをとる方法は、時間もお金も無駄にかかりすぎる。

なので、単純に「継続日数」「滞在時間」「課金額 or 頻度」が一定水準を超えているユーザーを便宜的に「ロイヤルユーザー」としているケースが多いと思います。


って感じなのですが、皆さんの考える「ロイヤルユーザー」のイメージや、定義する方法とどれぐらい合っていますか?

うちはこういう風に定義してるよとか、こういう考え方もあるんじゃないかとか、ぜひコメント等もらえると嬉しいです!

(Twitterでコメント付きで記事シェアとかされたら、必ずエゴサして見ますw)

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Tatsuo Sakamoto (坂本 達夫)
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