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【速報】AppLovinがMachine Zoneを買収!見立てと追加情報を含む解説記事

(2020.05.20 1:46am Machine Zoneの買収価格についてのニュースを追記)

先ほど衝撃的なニュースリリースが出たので、公式発表に加えていくつか公開情報を追加する形で解説します。この記事買い取りたいメディアの方いらっしゃったら Twitter で DM ください笑

内容は、ぼくの古巣でもある AppLovin (US のモバイルアドテク企業...という呼称はもはや適切でないかもしれない。理由は後述)  が、戦略系ハードコアで最大手の一角であるモバイルゲーム企業 Machine Zone を買収したというもの。

プレスリリースの日本語訳

まずはこちらが英語のプレスリリース。

内容をざっくり翻訳するとこんなかんじです。(機械翻訳+微修正)

ゲームスタジオとマーケティング技術により、世界で最も人気のあるモバイルゲームの多くに燃料を供給しているモバイルゲーム会社の AppLovin は本日、「Game of War: Fire Age」「Mobile Strike」「Final Fantasy XV: A New Empire」などの人気モバイルゲームの開発会社として知られる Machine Zone を買収することで合意したと発表しました。買収の条件は承認を前提としており、明らかにされていませんでした。
AppLovinは、人材・ゲーム・技術をMachine Zoneと融合させ、新しい没入型モバイルゲームを市場に送り出すと同時に、ゲーム開発会社がゲームのマーケティングと収益化を成功させるための支援を継続していきます。コラボレーションは現在開始され、最終的には AppLovin が本社を1マイル離れたパロアルトの Machine Zone のオフィスに移転することも含まれます。
AppLovin の co-founder / CEO である Adam Foroughi 氏は次のように述べています。
「我々は、Machine Zone の見事なストーリーラインと熱心なプレイヤーの強力なコミュニティに感銘を受け、彼らの才能あるチームの奥深さを直接目の当たりにしてきました。Machine Zone は彼らのゲームに絶大な支持を集めています。我々は、世界中の何百万人ものファンを楽しませ続けるために、2つのクリエイティブなブランドと市場をリードするテクノロジープラットフォームを融合させることに興奮しています。」
Machine Zone は、無料で遊べる多人数参加型オンラインゲーム (MMO = Massively Multiplayer Online) というジャンルをモバイルに導入した先駆者的なゲームプラットフォームであり、世界で最も成功したモバイルゲームのいくつかを提供してきた実績を持っています。Machine Zone は、独自のリアルタイム・エンゲージメント・エンジンを活用して、モバイルゲーマーの多様なコミュニティに非常に魅力的な体験を提供しています。
Machine Zone の CEO である Kristen Dumont 氏は次のように述べています。
「Machine Zone は、世界中の何百万人もの人々に魅力的なゲーム体験とコミュニティを提供しています。ミッドコアゲームにおける当社の専門知識と比類のない成功と、AppLovin のカジュアルゲームの目覚しい成功を収めているポートフォリオ、および主要なモバイルマーケティングプラットフォームを組み合わせることは、両社にとってメリットがあり、世界中のプレイヤーに比類のない体験を提供することになります。」
Machine Zone の買収は、圧倒的なモバイルゲーム会社としての使命を遂行し続ける AppLovin にとって大きな前進となります。また、AppLovin は先日、Redemption Games への戦略的投資を発表しました。Redemption Games は、PeopleFun・Belka Games・Clipwire Games・Firecraft Studios・Geewa などのパートナースタジオと、自社スタジオの Lion Studios を含む AppLovin のグローバルなモバイルゲームエコシステムの一員となりました。

日本語の公式 blog とプレスリリースはこちらです。トップ画像は僕のやつのほうがエッジ効いてて良い気がするけど、どうかなぁ

Machine Zone ってどんな会社なの?売上は?

何年かモバイルゲーム業界にいる方なら、「Game of War: Fire Age」「Mobile Strike」「Final Fantasy XV: A New Empire」などのタイトルが、日本でも売上ランキング上位に入っていたのを記憶しているんじゃないでしょうか。最近話題のハイパーカジュアルの真逆、ハードコアゲームをいくつか (多産多死ではなく割と絞って) 出してる会社ですね。

業界外の方でも、こんな見た目が特徴的なwプレイアブル広告を見たことがある人は多いのでは。

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余談ですがこれ、実際のゲームの中身よりもちょっとカジュアルめに演出したプレイアブル広告 (これなら私でもプレイできそう!) で、比較的安い CPI でハードコアゲームをインストールさせるっていう、地味に超画期的な手法なんですよね。

プレイアブル広告といえば、プレイアブル広告 DSP で業界では有名な CrossInstall も数日前に Twitter に買収されましたね!

最近の「本当のゲームの中身と関係ないパズルゲームのクリエイティブでダウンロードを稼ぐ」みたいな手法の走りに近いと僕は認識してます。良いか悪いかは置いといて。詳しくはゲーキャスさんの記事をどうぞ。めっちゃよく調べられてます。

App Annie の有料アカウントを持っていないのでw正確な売上予測は立てられないのですが、こちらの Pocket Game の記事 (英語) によると、Mobile Strike は 2015 年のリリースから 2018 年までに $1.3B (約 1,400 億円) の収益を上げているとされています。

また Wikipedia によると、Machine Zone は 2018 年 10 月に、JP モルガンを含む複数の投資家から $720M (約 740 億円) を調達しています。直近の売上がどれぐらいだったか分からないですが、まぁ普通に企業価値で数千億円のユニコーン企業でしょうね...

直近の収益は分からないですが、まぁ普通に3桁億円はあったんじゃないですかね。

AppLovin も同じく企業価値 数千億円 (前回調達時たしか約 2,000 億円) のユニコーンなので、今回のはユニコーンによるユニコーンの買収ということになります。合わせて幾らになるんだ。

2020.05.20 1:46am 追記: Bloombergの報道によると、Machine Zoneの買収時のvaluationは約$500M (550億円) だったとのこと。本当だとしたらめちゃくちゃダウンバリュエーションということになりますね。(ソース記事)

なお、Wikipedia 見ると色々面白いこと書いてあって、例えば 2016-2017 年には会社名を MZ にリブランディングし、自社の技術を PaaS (Platform as a Service) として外部提供するみたいなことにもチャレンジしていた模様です。2018 年に CEO が交代し (founder から、もともと COO だった弁護士女性に変わった)、再度ゲームに集中するっていう戦略変更をしていたらしい。

今は昔、僕が Next Marketing Summit でアルカナ 萌永さんと登壇したのが 2017 年で、確かにこの頃は会社名 MZ でした。

先の広告の話とも若干関係しますが、2017 年当時 1,000 人いた社員の 1/3 近くが (データサイエンティストやアーティストといった職種も含めると) 何らかマーケティングに関わっていたそうで、かなり広告・マーケティングには (出稿額・技術など全般に) 積極投資してきています。

当然、当時は広告ビジネスオンリーだった AppLovin にとっても、最重要クライアントの 1 つでした。

登壇で思い出したけど、2017 年には AdTech Tokyo でも一緒に登壇していました。「スマートフォンアプリによるコミュニケーション戦略」ってタイトルで、ぼくがモデレータ、登壇者が MZ アルカナさん、Yappli 庵原さん、コメ兵 藤原さん、カネボウ 中根さんという組み合わせ。食べ合わせが悪すぎる。

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何を狙ってこの組み合わせになったのか、今考えても謎すぎてウケるわ。

AppLovin の直近の戦略:「ゲームプラットフォーム」化

たぶん僕がいた頃の AppLovin を知ってる方にとって、AppLovin は「広告の会社」「動画リワードの会社」最近は「ヘッダービディング MAX」といった "アドテク" の印象が強いと思います。去年買収した SafeDK っていう「SDK 管理プラットフォーム」とかもすごいイケてるっぽいんですが、あんまり聞かないのは何故なんだろう。まだ営業してないのかな。

僕の晩年を知ってる方は、Lion Studios というハイパーカジュアルゲームのパブリッング事業を新規事業として立ち上げていることをご存知のことでしょう。Sensor Tower の発表によると、新作 "Save the Girl" は 2020 年 4 月に 1,100 万ダウンロードされ、その月に世界で一番 DL されたタイトルだったそうです。相変わらず絶好調。

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ですが、日本ではそこまで大きな話題になっていないですが、実は AppLovin これまでも有力なゲーム会社をたくさん買収してるんですよね。Wordscapes などワードゲームに強い PeopleFun、日本でも売上ランキングに入ってる "マッチ3 x おうちデコ" 系ゲーム Matchington Mansion の Firecraft Studios、あと日本からも Fill などのパズルゲームのヒット作を多数生み出している MagicAnt が買収されていいます。

下記サイトに (自社スタジオに対する) パートナースタジオとしてまとまってます。

未上場なので売上とか公開されていないですが、自社スタジオ Lion Studios とこれらのパートナースタジオのゲームの収益全部合わせると、年間だと普通に3桁億円はいくはず... Matchington Mansion とかは課金もけっこう出てそうだし。んで今回の Machine Zone 買収ときて、もはや広告関連の収益よりもゲーム収益のほうが大きいんじゃね!?って思うわけです。

というのを念頭に入れて、冒頭のプレスリリースをもう一度読んでみると

ゲームスタジオとマーケティング技術により、世界で最も人気のあるモバイルゲームの多くに燃料を供給しているモバイルゲーム会社の AppLovin は本日、(以下略)

アドテク企業とか広告プラットフォームではなく、モバイルゲーム会社ってしっかり書いてありましたわ!

投資を受けている以上は、これからも valuation を上げて exit を目指していくはずで、恐らく今後もゲーム領域・広告領域あるいはその周辺でシナジーがきく領域で、積極的に買収を仕掛けていくんじゃないでしょうか。

2015 年に僕が入ったときには、まだ社員も 100 人弱、単なるアプリの動画アドネットワークに過ぎなかったのになぁ。たった 5 年でここまで組織と戦略が様変わりして急成長するなんて、ほんと分からないもんですね。わりと身近でそれを見れてるのは良い勉強になります。これからもガンガン成長して、びっくりするぐらいの大型 IPO でもしてくれたら、OB としては嬉しい限りです。(あと若干の shareholder としてもw)


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わっほーい!どもです!
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モバイルアプリマーケティングの専門家です。外資系広告プラットフォーム企業勤務。ちょっぴりエンジェル投資なんかもしてます。アプリ開発もやってます。

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本業:外資系スタートアップの日本進出、趣味:育児とエンジェル投資。日々思考していることや、面白いサービスや人の紹介、などを不定期に書きます。

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