【マーケター必読】『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』感想文
松本健太郎さん (@matsuken0716) の『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』という本を読みました。
結論から言うと、内容盛り盛りなのに分かりやすく、人間の本質に迫れる名著です。
マーケターや、プロダクト開発に関わる方、スタートアップ創業者・経営者は全員読んだほうが良いです (というか、読まないと大事な何かを見落としてしまうリスクがあります)。
松本健太郎さんのことは最初『ミルクボーイ漫才「P&Gマフィア」』という note で知って、変人なのかなと思っていたら、話してみるとめちゃくちゃマトモな方でびっくりしたのを覚えています。(失礼な話)
なお、インスパイアされてぼくも『ミルクボーイ漫才「Smartly」』という note を書いたのですが、一切バズりませんでした
この本は『マーケティング』と『行動経済学』と『データサイエンス』を組み合わせて書かれた本で、特に人間の『欲望』や『ダメなとこ』『煩悩』といった "ネガティブな" 側面について、どうしてそのように行動してしまうのかという理論や背景・枠組みなどについて解説してくれています。
ぼくにとって非常に腹落ちする部分が多い内容でした。
というのも、(細々と) エンジェル投資家というのをやっていると、色々なスタートアップの創業者の方々と話す機会があるんですね。
皆さん、自分のプロダクトやソリューションによっていかに世の中が良くなるのかといった、ポジティブな方向から説明してくることが多いです。
一方、ぼくは根がだらしなくて、サボりたがりで、面倒くさがりなので、いつも『そんな良いように人間って行動してくれるのかな?』とか『そういう風になれば素晴らしいけど、実際は面倒臭くて誰もそんなふうにはやらないんじゃない?』みたいに思ったり、そのことを直接フィードバックしたりすることがすごく多いんですよね。
たぶん創業者の方々は、自分のプロダクトやサービスの bright side について心から信じていて、自分たちの願った通りにユーザーが動いてくれれば世の中がもっと良くなる!と心から信じているのだと思うのですが、
実際にはユーザーは、プラスの感情だけで動くということはなく、本書に書かれている通り、『欲望』や『だらしなさ』といったネガティブな感情から行動する、あるいは "行動を起こさない" といったことが往々にして起きるものです。
ぼくは自分の心が弱いので、本能的に "心が弱い人間" 側に立った感想を持ちがちなのですが、この本を読むとより理論的に、なぜ人間がそのような『合理的ではない』『理想的ではない』行動をとってしまうのかが理解できて、
プロダクトやサービスを作る際、より現実的に、狙った通りに人を動かすような取り組みができるように、少なくとも一歩近づけるのではないかなと思いました。
大企業/スタートアップを問わず、プロダクトやサービス開発に関わっている方、マーケティングに関わっている方には強くオススメします。
活字が苦手なぼくでもわずか一週間で読み終えられるぐらい平易な文章で、分かりやすく、しかし論理的に書かれている本です。
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