見出し画像

#BtoBセールスのプロ を目指すシリーズ「初回訪問準備」(AppAnnie向井さん #旬トレ 2020年春 前編)

前回の記事 "勉強会レポート「はじめてのBtoBセールス〜"プロ"のセールスになるために〜」" はおかげさまで大好評、講師をやってくださった App Annie カントリーマネージャの向井さんは今やいろんな会社に営業トレーニングとして招聘されるようになったみたいです!

今回また向井さんに教えてほしいことがあって個別にお時間をいただいたのですが、やっぱり内容が素晴らしくためになったので、書き起こして記事にしました。大ボリュームなので前後編にしていて、こちらは前編の記事です!

なお向井さんのプロフィールはこちらです。

2002-2007 ネットワンシステムズ
2007-2011 Dun And Bradstreet Japan
2011-2014 Gartner Japan
2014-現在 App Annie Japan
- 2019年1月からカントリーマネージャに
note: https://note.mu/shun0718
Twitter: https://mobile.twitter.com/Shun_Mukai0718

=====

坂本:先日は BtoB 営業の基礎 (こちらの記事参照) について教えていただいてありがとうございました!営業ってこんなに奥深かったんだな、っていうのがこの1年間での学びです。

向井先生:役に立ったなら何より。で、今日は何が知りたいんだっけ?

坂本:今日はもっと具体的に、営業に行く前の準備と、初回から 2 回目訪問までの組み立て方を教えて欲しいです。

営業に行く前の準備と、初回から 2 回目訪問までの組み立て方を教えて欲しい

向井先生:なるほどね。準備っていうと、公開情報の読み込みと、仮説の作り方とか?

坂本:ですです。例えばこの間、某外食チェーンの CMO の方とお会いする機会があったんですね。

向井先生:うん。

坂本:イベントで知り合って、CMO の仕事とか教えてください〜みたいな無邪気な感じで訪問して、1 時間色んなお話を聞かせてもらいましたと。

向井先生:さかもっちゃんらしいね。

坂本:Smartly.io についてはほんの触りだけ説明して、なんか御社にも使ってもらえそうなことあったら提案持ってきますね!みたいな感じで別れましたと。はて、どうしようと (笑)

向井先生:(笑)

坂本:例えばアプリ企業だったら App Annie 使うよね、みたいなのって説明不要じゃないですか。Smartly.io でも、例えば EC とかトラベル系広告主だったらこの機能を使うと絶対効果いいよね、みたいな、パッと想像つく領域はいいんですよ。

向井先生:とりあえずそれ提案してりゃいいと。

坂本達夫のスタートアップ酒場 (2)

坂本:ですです。でも、外食チェーンの Facebook・Instagram 広告に何を提案するんだろうと。そもそもこの人たち、何困ってんだろう?困ってんのか、そもそも?みたいな感じで、次、僕は何をすればいいんだみたいな。

向井先生:え、思考停止じゃん。(笑)

坂本:だからとりあえず、IR 情報見てみたり、web 記事読んでみたりして、ふーんって。そこから実際に。こういうこと困ってませんか?こういうことで課題解決できるんじゃないですか? に持っていくまでの階段が見えないっていう感じです。

基本動作その1「公開情報の読み取り」には●●分かけろ!

向井先生:今、その会社の HP 見てるよ。

坂本:食べる側だったらよくそのお店行くんですけどね。以前、向井さん、レガシーな業界に営業に行くときに「彼らが抱えてる課題について仮説をいくつか投げてみる」みたいな話とかされてたじゃないですか。

向井先生:やってるね。

坂本:お客さんの情報を収集して、そこから課題を何個か仮説立てて、ぶつけに行く、みたいなとこのプロセスをもうちょっと深堀りたいっていう感じです。

向井先生:なるほどね。

坂本:この会社でもいいし、向井さんが過去にやられたケースでも全然いいし、それをリバースエンジニアリングさせてもらって、考えるプロセスや見るべきポイントのヒントを得られれば嬉しいですね。

向井先生:大きく 2 つあって、1 個は作法・基本動作です。ホームページ含む、いわゆる公開情報の読み取りってやつは、基本動作。

坂本:初回のミーティング...というか、顔合わせみたいな会の時にもやっていくものですか?

向井先生:当然の作法ですね。どっちかというとマナーに近い。

坂本:「え、そんなことも知らないの? 書いてあるっしょ?」ってならない程度には一通り読んどく、って感じですか?

向井先生:そう。

坂本:どの辺を読むみたいなのとかってあります? ポイント。

例えばこの会社のホームページでいうと、社長メッセージは外さない。

坂本:社長メッセージ?あんまちゃんと読んだことなかったです...

向井先生:CMO レベルと話すときは、社長メッセージって使った方がいいんですよ。社長との距離が近いので。現場の人にこの辺の話を持ち出しても、「あぁ言ってますね」みたいになっちゃうんだけど。

坂本:なるほど〜

向井先生:営業やってる人、中計 (中期経営計画) とかで使われているフレーズを提案書で使いがちなんだよね。相手が経営陣だったらいいんだよ。でも、部課長とかに「中計でこういうこと言ってますよね!」って言ってもダメ。「読んでいただいてありがとうございます」ぐらいの温度感になっちゃう。

坂本:「そう!そこが今、うち一番困ってて!」ってならないんだ。

向井先生:ならない。「調べてくれてるんだな、ありがとう」ぐらい。ポジティブには写るけど、以上。

坂本:なるほどなあ。

向井先生:CMO であれば、社長メッセージはちゃんと読み込んで、この人やこの会社。何を大事にしているかとかを把握する。後は長期経営ビジョンのキーワードとかね。

坂本:ふむふむ。

画像2

向井先生:例えばこの会社は 3 つのキーワードがあるけど、3 つ目はモバイルと関係ないから App Annie だったら無視するけど、1 つ目と 2 つ目はモバイルで何か貢献できそうじゃん。

坂本:何とか、できそうな感じしますね。

向井先生:ってかんじでフラグを立てる。...あとここ、長期経営ビジョンを 2015 年に策定したって書いてあって、10 年プランを出してるみたいなのよ。

坂本:今 (2020年) ちょうど折り返し地点ですね。

向井先生:そう。そのプランがどっかに落ちてるはずなんだよ。

坂本:なるほど〜。探してみます。

向井先生:ってかんじで、基本的にこのホームページにあるような会社概要は、一通りざっと、斜め読みでいいのでキーワードを拾うっていう目的で読みます。逆に、関係ないなーって思う所はノイズなので飛ばす。

坂本:けっこうガンガン飛ばしますね。

向井先生:そうしないと時間ばっかりかかるんですよ。大体、1 社の公開情報読み込みは 10 分。

坂本:10分すか!? 意外と短い。

向井先生:そう、だから 30 分とか 1 時間の移動中に、実は準備ってできちゃうんですよ。

坂本:なるほどなぁ。僕いつも移動中はパワサカやってました。

向井先生:あとこの会社は上場してるから、もっと色々ホームページに出てるよね。たくさん情報あるんだけど、この中で読むのは 2 つ。中長期のビジョン・戦略と、あとは決算発表。

坂本:中長期ビジョンと決算。

向井先生:ビジョンって言っても、こうい大きすぎるキーワードを、部課長レベルの人向けの提案書の表紙なんかに入れると、失笑されるね。役員の人たちには喜ばれますよ。

坂本:気をつけます。

調べた内容をもとに質問すべき事項をリストアップ

向井先生:ざっと読み進めるね...ビジョン達成に向けた打ち手。新しいテクノロジーやビジネスモデルを必要としてます、とも書かれてる。

坂本:あれ、グループ全体の課題ってある。課題書いてくれてますよ!向井さん!(喜)

向井先生:書いてるね。(笑) 作られたのは 2015 年か。

坂本:5 年前からこれが変わってない、もしくはその道半ばだったら、それに向けた提案をすればいいってことになりますね。

向井先生:うん。それを確認するのが “状況質問” ですね。

坂本:おおおお!こないだの講義とつながった。

向井先生:ここに書いてある課題の中で、さかもっちゃんが手伝えそうなのはどれかって見ていくわけよ。「新たなマーケティング手法の導入」とかさ。いいじゃん。

坂本:いいっすね。

向井先生:海外進出とかも多分、日本ほど知名度ないから、もっとマーケが必要になりそう。出店はいいんだけど、出店した後の集客はどうするとか。

坂本:来店促進のキャンペーンでこんなこと出来ます、と。

向井先生:あとここ、既存経営資源とテクノロジーの活用ってあるけど、既存経営資源って例えば何があるんですか? って訊いちゃってもいいよね。外からでは分からないから。

坂本:たしかに。

向井先生:データの活用を進めますとも言ってるけど、進んでるのかどうかだね。進んでないんだったら、何でなんだろうと。お手伝いできる領域であれば深く訊いちゃって良い。逆に関係なければ、無駄なので、訊かなくても OK。

坂本:そっか。じゃあこれ読みながら、「何が課題なのかな」と「自分とこのソリューションでこういうこと出来るんじゃないかな」っていう仮説を作るのと、「それを確認するために何を聞こっかな」っていう質問のリストアップを、同時にやっている感じなんですね。

流石、理解が早い。

坂本:勉強になるなあ。

向井先生:長期プランはかなり抽象的なので、中長期戦略・ビジョンのとこはこれぐらいでいいでしょう。

決算資料は●●を読んではいけない!

坂本:つぎは決算説明会資料ですか。

向井先生:決算説明会資料ね。大体、営業ってこの一番 “最新” の資料を読むんだよね。

坂本:何で分かったんすか?見てたんすか?(笑) CMO に会いに行く前、まさにコレ読みました。

向井先生:駄目よ。これ読んだら。

坂本:駄目なんですか!?

画像3

向井先生:駄目駄目。見ていいのは、直近の “年度末” の決算説明会資料。なぜなら「向こう 1 年間、これをやっていきます」って株主にコミットしている情報だから。

坂本:ほう。

向井先生:それに対して、四半期ごとの決算は、その計画に対して「ここまで来ましたよ」だけしか書いてない。

坂本:なるほど。だから、まず元々のプランを見ないといけないんだ。

向井先生:そう、まずは年間なのよ。この会社は、11 ヶ月前に出してるね。

坂本:あと 1 ヶ月ぐらいしたら、これの最新版が出るんでしょうね。

向井先生:そう。それまでの間は昨年度のを見る。んで、過去はどうでもいい。

坂本:過去はどうでもいいとは?

向井先生:資料の中で、過去について書かれてる部分はほとんど読み飛ばして、「この先何をするのか」ってとこだけ見てれば大丈夫。

坂本:ふわぁ、そうなんですか。

向井先生:そうしないと、この資料を読み込んでるだけで凄い時間かかるから。

坂本:確かに。ぼく決算書見るの嫌いじゃないんで、興味持って結構読んじゃうんですよね。

向井先生:興味自体はいいんですけどね。...で、ここからですね。2020 年 2 月期に向けた、活動方針と課題。2020 年は、中計における第 2 ステージです、と。てことは、これの 1 つ前の年次の決算説明資料に、第 1 フェーズのことが多分、書いてあるよ。

坂本:なるほど。

向井先生:でも 1 番知りたいのは「この先、何をすると言っているのか?」なのでいったん飛ばします。

坂本:さっきの話にあった、既存の経営資源を活用、みたいなやつは、もしかすると第 1 フェーズのところに記載あるかもしれないですね。

向井先生:段々、ぼやけていたものが少し解像度が出てくるでしょ?

坂本:ですね。

向井先生:このへんから、今後の話が出くるよ。...例えばここ、客層を変える、って書いてあるな。

坂本:ファミリーとか女性とかを増やしにいく、みたいなのを狙ってるみたいですね。

向井先生:広告の出番ですね。客数と客層の拡大はまさにマーケティングで貢献できるところなので、ピックアップしてあげればいいでしょう。ってかんじで、資料全体は数十ページあるけど、必要情報って実は数ページしかない。

坂本:なるほどなー。

向井先生:で、一応最新の四半期の資料も見ておく。

坂本:2 か月前ぐらいに出てたやつですね。

向井先生:業績はよろしいと。ちょっと原価率が下がってます。通期見通し。...さっき出てた戦略のことがまた出てきました。

坂本:出てきましたね。

向井先生:この集客をどうやってるかって、リサーチするといいかもしれないですね。客層を変えるってさっき言っていたけど、ファミリー層や女性客をどうやって集客しているんだろう?

坂本:SNS 広告やってないならやったほうがいいし、やってたとしたらそこのプラスアルファの提案ですね。

向井先生:いいじゃん、絶対 Smartly.io 売れるじゃん。きっとデジタルマーケティングをやるリソース足りてないもんね、内部で運用してたら。

坂本:リソース足りてますって会社は少ないですね。

向井先生:だから、ほぼ自動で広告の最適化してくれるんですよっていうところを押していくといいよね。ってかんじで、四半期決算を読むときは、年次計画で言っていることをちゃんと踏襲していくのかどうか、ってのをとりあえず見ればよくて。

坂本:なるほど。これだと移動中にスマホでさっと見れますね。30 分あれば十分。

向井先生:これぐらいが最低限やったほうがいいね。

会う相手の●●をチェックせよ

向井先生:後、やるといいのは、会う人の SNS チェック。

坂本:SNS チェック。

向井先生:Twitter、Facebook、どういう人と繋がってて、どういうことを言ってるのか。後は登壇とかインタビュー記事も目を通す。

坂本:それを提案内容に反映させたりもするんですか?

向井先生:これはどちらかっていうと、資料に落とすというよりは、会話をスムーズに進めるための材料だね。こういうインタビュー記事を拝見したんですけど、みたいに。インタビュー記事に触れると、喜ばれるから。

坂本:確かに、読みましたーって言われると嬉しいですね。

向井先生:自分の中に、話の流れとして繋げられるようなキーワードを拾って、心の中にでもメモっておくといいね。「昨年に日経ビジネスのインタビューでこう仰ってましたけど、御社の向かっているのはこういう理解で正しいですか」みたいな感じで、さり気なく触れてあげると喜ばれるかな。

坂本:提案書に落とす、みたいなそういう堅い話っていうよりかは、会話の種を探すとか、相手を喜ばせるとか、ラポール形成のためにやる、って理解でいいですか?

向井先生:そうだね。ただそこに、会社として出している情報と、その人が会社の看板を背負った状態で喋ってる内容に齟齬があったら、そこは状況質問する。こっちでこう言ってて、こっちでこう書いてあって、若干矛盾がある気がするですけどどっちが正しいですか?って訊いちゃってOK。

坂本:ほーなるほど。確かにそこで間違った前提に基づいて提案するのも良くないですもんね。

=====

前半はこんなかんじです!後半では実際の初回訪問での話の進め方や、ヒアリング内容をもとに提案を組み立てる方法についてお届けします。

後半も読みたい方は是非このnoteをフォローしてください!この内容が役に立ったという方は、記事を「スキ」してもらえるととても嬉しいです!!

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

この記事が学びになったよという方は、少しでもサポートいただけると、今後も役に立つ記事を書くモチベーションになります。記事への「スキ」やSNSシェアも大歓迎です!応援してください!

よければ他の記事も読んでみてね!
37
モバイルアプリマーケティングの専門家です。外資系広告プラットフォーム企業勤務。ちょっぴりエンジェル投資なんかもしてます。アプリ開発もやってます。

こちらでもピックアップされています

Qの雑念記4
Qの雑念記4
  • 41本

本業:外資系スタートアップの日本進出、趣味:育児とエンジェル投資。日々思考していることや、面白いサービスや人の紹介、などを不定期に書きます。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。