フィニッシャーの位置に自分を置きに行く:ビジネスで『アオアシ』青井葦人のような決定的な仕事をキメる方法 #SaaSLovers Day2
優れた "フィニッシャー" に備わる感覚
ビジネスにおける決定的なゴールをキメるような選手には、どうやら共通する方法論があるようです。
決定的な仕事とは、例えば『大型契約の受注』『資本業務提携』、また個人レベルだと『重要なポジションへの就職』など。
この記事では、『決定的ゴール』の構造と、それをキメる選手がどんなプレーをしているのか、そしてどうやったら決定的ゴールをキメることが出来るようになるのか、を言語化してみようと思います。
自己紹介 (知ってる方は飛ばしてください)
坂本達夫です。楽天・Googleを経て、外資系ITスタートアップ企業の日本進出・事業責任者を何社か連続でやっているというキャリアです。現在は『モバイルマーケ x 機械学習』領域のシリコンバレー発ユニコーン・Molocoで日本の代表をしています。
Molocoって何なん、って方はこちらどうぞ。↓
この記事を書いた背景
日本代表と言うと聞こえは良いですが、日本進出した外資系企業の多くがやること・期待されることは、営業による売上アップ・顧客拡大です。
ぼくは前職 Smartly.io で初めてSaaSのエンタープライズ (大企業) 向けセールスをやって、自分の実力不足で全然うまくいかなかった (参照) ので、Well Direction社の向井さん(※)に営業の修行をしてもらいました。
(※僕が一方的に『営業の師匠』と尊敬するお方。当時AppAnnieの日本代表 - AppAnnieは現在data.aiに社名変更。ややこい)
その記事がこちらなんですが、
その中に、ソリューションを売る際は『機能』を相手にプッシュしてはダメで、まずは
を可視化・言語化・数値化しないといけない。
それに対して (ソッ…)『ウチのソリューションを使えば解決できるよ』『ROIもプラスですよ』っていう持っていき方をしなきゃいけない - っていう話が出てきます。
これと同じ構造の話に、思わぬところで再開したのです。
CVC・事業会社からの資金調達・業務提携
それが、発足以来スタッフとしてお手伝いしている経営カンファレンス『ICCサミット』で、ずっとモデレータをさせてもらっている『CVC・事業会社からの資金調達・業務提携の実際』というセッションです。
(資金調達はおろか、起業さえしたことないのに)
CVC・事業会社 (以下便宜的に『事業会社』とする) からの『資金調達』と、お金以外の目的である『事業提携』をやったことがあるスタートアップが、その経験談やノウハウをシェアしてくれる - というレアなセッションです。
なかなか他所では聞けない濃いぃ内容なのですが、残念ながら完全オフレコなので中身をここで書くことができません。
が、ある登壇者が『調達後の事業提携を成功させる方法』として、とても興味深い発言をしていました。
エンタープライズ営業がやってることと、めちゃくちゃ同じ構造だと思いませんか?
これが構造的に似てることに気づいたのは、みんな大好きなあのマンガのあのシーンが、ぼくの脳裏に浮かんだからです。
フィニッシャーの位置に自分を持ってくる
そのマンガとは『アオアシ』(小学館・小林有吾 著) です。
Jクラブの下部組織に入った主人公・青井 葦人 (あおい あしと、以下『葦人』) が、色んな壁にブチ当たりながら乗り越えて成長し、覚醒し、ライジングしていく…という若者成長胸熱サッカーマンガ。
楽天大学 "がくちょ" こと仲山 進也さんのこの本もオススメ。
そんなアオアシに、こんな葦人の覚醒シーンが出てきます。
『めっちゃ頑張って点を取る』じゃないんですよ。
あとは誰かが蹴り込めばOK、ってとこまで相手を崩して、最後の必要なピースに自分を『置きに行くだけ』っていう感じなんです。
ホラこれ、前半で説明した『エンタープライズ営業』と『事業会社との資本・業務提携』と同じ構造じゃないですか?
図解するとこんなかんじ。
多分この他にも同じ構造が当てはまるシーンが、ビジネスの、あるいは生活の色んな領域に無数にあることでしょう。
(事実この表にも、唐突に『要職をゲットしに行く』就職活動を追加してます。成立してるでしょ?)
『決定的な仕事』をキメられるようになるために
ここまで読んだ皆さん、気になっていることでしょう。「どうやったら出来るの!?」
自ら (のスキル、プロダクト、事業、など) を磨くことは、もちろん必要です。それが足りてないと、決定的なチャンスでシュートを外してしまいます。
ただ、1人でドリブルして決めるだけなら良いんですが、実際はサッカーもビジネスもそうはいきません。
大きな試合になればなるほど、相手が強いので、ゴリ押しでは何ともなりません。
上記で取り上げたシーンに共通するのは、そう、どれも『相手』がいるんですよね。
その上で、相手のことを深く理解して、思考と行動を読み、なんならコントロールして、『ここに必要なピースを置けば決まる』ポイントを見極めることが必要です。
例えば営業でいうと、SPINっていう『相手のニーズを顕在化させる、質問手法』というものがあります。
これを通じて、相手にニーズとペインを自覚させることができれば、あとは『こうやったら解決できるよ』とソリューションを置きに行くだけ。
足を振り切るだけでゴールは決まります。
(もちろん、確実にクローズさせるために満たさないといけないその他の条件はありますが)
相手を理解するための方法論については、営業文脈では過去のこちらの記事を読んでみてください。
営業だとこうなのね、ってことはファイナンス文脈だときっとこうだな…みたいに、抽象化しながら読んでみてください。
SaaS Lovers リレーブログ企画について
ということで、今回はこのへんで。
サッカーマンガ (アオアシ) とビジネスに馴染みが深い方にとっては、ちょっとは面白い記事になっていれば嬉しいです。ぜひ感想とともにシェアしてください!
アオアシが分からないから、どうもピンとこなかった…という方は(ごめんなさい)、ぜひ読んでみてください。めちゃくちゃアツいです。(Netflixでアニメもあります)
個人的には、クラブチームの構造や思考様式が垣間見えるという点が、非常に興味深いです。
そしてこの記事、実は #SaaSLovers というリレーブログ企画の一環だったりします。ぼくは2日目担当で、1日目はDoubleVerify 小松さんのこちらの記事でした。↓
有志でSaaSに関するブログを書く企画です。今回で6回目となり、今までで110記事くらい上げています。(noteでは70記事程度をマガジンにまとめています)
次回は来週 12/5(月) セールスリクエスト社 代表の原さん @sicgram が、Hubspot絡みの超役に立つ話を書いてくださるそうです!(ハードル上げる)
原さんのTwitterをフォローして、正座して待ちましょう!
最後に、ぼくが過去の #SaaSLovers 企画で書いた記事のリンクも貼っておきます。興味が湧くタイトルのものだけでも、ぜひチラっと読んでみてください。